制度のきほん(スタッフ向け)
障害福祉・障害児支援・介護のサービスが、どんなしくみで動いているのか。現場で働くうえで知っておきたい分だけ、まとめました。
このページについて
制度は細かく決められていて、改正もあります。このページでは、負担の上限額などの具体的な数字は書いていません。数字や細かい要件は、最新の国の資料・市町村の案内で確かめてください。
3つの制度のちがい(早わかり)
スマホでは表を横にずらして見られます。
| 項目 | 障害福祉(大人) | 障害児の通所支援 | 介護保険 |
|---|---|---|---|
| もとになる法律 | 障害者総合支援法 | 児童福祉法 | 介護保険法 |
| 主な対象 | 身体・知的・精神(発達障害を含む)障害のある人、一定の難病の人 | 障害のある子ども、発達に支援が必要な子ども | 要介護・要支援と認定された人(主に高齢の人) |
| 主なサービス | 居宅介護・生活介護・短期入所・就労系サービス・共同生活援助 など | 児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援 など(障害児通所支援) | 訪問介護・通所介護・短期入所・特別養護老人ホーム など |
| 使える量などを決めるところ | 市町村(支給決定) | 市町村(通所支援の支給決定) | 市町村(要介護認定) |
| 支援の必要の度合い | 障害支援区分 | (区分の認定はない) | 要支援・要介護の段階 |
| 手もとに届く証 | 障害福祉サービス受給者証 | 通所受給者証 | 介護保険被保険者証 |
| 全体の計画を作る人 | 相談支援専門員(サービス等利用計画) | 相談支援専門員(障害児支援利用計画) | ケアマネジャー(ケアプラン) |
| 事業所の計画を作る人 | サービス管理責任者(個別支援計画)など | 児童発達支援管理責任者(個別支援計画) | 各サービスの計画(訪問介護計画など) |
| 利用者負担の考え方 | 所得に応じた月ごとの上限がある | 保護者の所得に応じた月ごとの上限がある | 所得に応じて、費用の一部(何割か)を負担 |
障害者総合支援法(障害福祉サービス)
障害のある人が、地域で自分らしく暮らせるように、福祉サービスや相談支援などを定めた法律です。サービスは大きく、介護の支援を受ける「介護給付」と、訓練や就労・住まいの支援を受ける「訓練等給付」などに分かれます。このほか、市町村が地域の実情に合わせて行う地域生活支援事業(移動支援など)もあります。
サービスを使うまでの流れ
相談
本人・家族が、市町村の窓口や相談支援事業所に相談します。
申請
市町村にサービスの利用を申請します。
障害支援区分の認定
介護給付のサービスなどを使うときは、認定調査と医師の意見書をもとに、市町村が障害支援区分を認定します(サービスによっては認定がいらないものもあります)。
サービス等利用計画案
相談支援専門員が本人と相談して計画案を作り、市町村に出します(本人・家族が作るセルフプランもあります)。
支給決定・受給者証
市町村が、使えるサービスの種類・量・期間を決め(支給決定)、障害福祉サービス受給者証を交付します。
サービス等利用計画
サービス担当者会議などをへて、計画ができあがります。
事業所と契約
本人と事業所が契約します。事業所は重要事項を説明し、受給者証の内容を確かめます。
個別支援計画・支援
事業所のサービス管理責任者がアセスメントをして個別支援計画を作り、計画にそって支援します。
モニタリング
相談支援専門員はサービス等利用計画を、事業所は個別支援計画を、定期的に見直します。
子どもでも、ホームヘルプ(居宅介護)や短期入所などは、障害者総合支援法のサービスとして使います。
児童福祉法(障害児の支援)
障害のある子どもの通所の支援(児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援など)と、入所の支援は、児童福祉法にもとづくサービスです。障害者総合支援法とは別の法律なので、書類や計画の名前も少しちがいます。
通所の支援を使うまでの流れ
相談
保護者が、市町村の窓口・相談支援事業所・保健センターなどに相談します。
申請
市町村に障害児通所支援の利用を申請します。子どもには障害支援区分の認定はありません。
障害児支援利用計画案
障害児相談支援の相談支援専門員が計画案を作り、市町村に出します(保護者が作るセルフプランもあります)。
支給決定・通所受給者証
市町村が支給決定をして、通所受給者証を交付します。
事業所と契約
保護者と事業所が契約します。
個別支援計画・支援
事業所の児童発達支援管理責任者が個別支援計画を作り、計画にそって支援します。
モニタリング
計画を定期的に見直します。学校・保育所・家庭との連携も大切です。
障害児の入所施設の利用は、市町村ではなく、都道府県など(児童相談所)が決めます。
介護保険法(介護保険)
介護が必要になった人を社会全体で支えるための保険のしくみです。市町村(特別区を含む)が保険者となり、40歳以上の人が保険料を納めます。 65歳以上の人は、介護が必要になった原因を問わず対象になります。40〜64歳の人は、加齢にともなう決められた病気(特定疾病)が原因のときに対象になります。
サービスを使うまでの流れ
相談
本人・家族が、市町村の窓口や地域包括支援センターに相談します。
申請
市町村に要介護認定を申請します。
要介護認定
認定調査と主治医の意見書をもとに、介護認定審査会で判定し、市町村が「要支援」「要介護」の段階を認定します。
ケアプラン
要介護の人は主に居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、要支援の人は主に地域包括支援センターなどが、本人・家族と相談してケアプランを作ります。サービス担当者会議で関係者と共有します。
事業所と契約
本人と事業所が契約します。事業所は重要事項を説明し、介護保険被保険者証などを確かめます。
サービスごとの計画・支援
各事業所が、ケアプランにそって訪問介護計画・通所介護計画などを作り、サービスを提供します。
モニタリング
ケアマネジャーが定期的に状況を確かめ、必要ならケアプランを見直します。
要介護・要支援の段階ごとに、保険で使えるサービスの量の上限があります。上限を超えて使った分は、全額が自己負担になります。
報酬と請求のしくみ
- 事業所がサービスを提供すると、国が決めた単価(報酬)にもとづいて費用が支払われます。職員の体制や取り組みによって 加算 がついたり、基準を満たさないと減算されたりします。報酬は定期的に見直されます(報酬改定)。
- 事業所は、毎月、サービスの実績をもとに、利用者負担を除いた分を 国保連(国民健康保険団体連合会) に請求し、審査をへて支払いを受けます(法定代理受領)。利用者は、自分の負担分だけを事業所に支払います。
- そのため、現場の記録(サービス提供の記録・実績の記録)は、請求の根拠にもなります。記録がないと、支援をしていても請求できないことがあります。実際の時間や内容を正しく記録しましょう。
利用者負担の考え方
- 障害福祉サービス・障害児通所支援は、本人(子どもの場合は保護者)の世帯の所得に応じて、ひと月に払う額の上限(負担上限月額)が決まっています。上限額は受給者証に書かれています。
- いくつかの事業所を使っている人は、合計が上限を超えないように、事業所どうしで調整するしくみ(上限額の管理)があります。
- 就学前の一定の年齢の子どもの通所の支援は、利用者負担が無料になるしくみがあります。
- 介護保険は、所得に応じて、サービスの費用の一部(何割か)を負担します。負担が重くなりすぎないように、月ごとの上限を超えた分が払い戻されるしくみもあります。
- 食費・光熱水費・おやつ代・教材費などは、サービスの費用とは別に、実費としてかかることがあります。
具体的な上限額や負担の割合は、最新の国の資料・市町村の案内で確かめてください。利用者や家族から聞かれたら、自分で答えずに、担当の職員や市町村につなぎましょう。
障害福祉と介護保険がかさなるとき
- 障害福祉サービスを使っている人が65歳になるなどして介護保険の対象になると、介護保険に同じようなサービスがある場合は、原則として介護保険のサービスが優先されます。
- ただし、一律に切りかえるのではなく、本人の状況をふまえて市町村が判断します。介護保険にないサービスや、介護保険だけでは足りない分は、障害福祉サービスを使えることがあります。
- 障害福祉と介護保険の両方の指定を受けて、同じ事業所でサービスを続けられる「共生型サービス」というしくみもあります。
言葉の意味は 福祉の用語集 で確かめられます。
このページは一般的な説明です。法律・制度・基準は改正されることがあり、地域や事業所によって扱いが違うこともあります。くわしくは、最新の情報と、職場・自治体・公的な窓口で確かめてください。
