ヒヤリハット・事故報告の書き方
報告は、だれかを責めるためではなく、同じことをくり返さないためのもの。書く項目・例文・原因と対策の考え方と、印刷できるひな形です。
まず、すること
- 本人の安全とけがの確認、必要な手当て・受診・119番を先にします(記録はあと)。
- 管理者・看護師など、事業所で決められた人にすぐ報告します。
- 家族への連絡は、事業所の手順にしたがいます。
- 記憶がはっきりしているうちに、できるだけ早く報告書を書きます。
事故の内容によっては、市町村などへの報告が必要です。何を・いつまでに報告するかは自治体によって違うので、管理者と事業所の手順で確認してください。
書く項目
- 起きた日時
- 例:6月3日(月)14時10分ごろ
- 場所
- 例:食堂の入り口/送迎車の中
- 関わった利用者
- 例:Aさん(イニシャルなど、事業所の決まりで)
- 報告する人・その場にいた職員
- 例:職員B(発見)、職員C
- 何が起きたか(事実)
- 見たこと・聞いたことを、時間の順に。想像でうめない。
- その場での対応
- だれが・何をしたか。だれに報告したか(時刻も)。
- 本人の状態・その後
- けがの有無・場所、受診したか、本人の言葉など
- 家族・関係機関への連絡
- だれが・いつ・だれに・何を伝えたか
- 原因(考えられること)
- 本人・職員の動き・環境・道具・仕組みのそれぞれから
- 再発防止の対策
- だれが・いつから・何を変えるか。対策を見直す日も
「何が起きたか」には事実だけを書き、想像や「〜と思う」は「原因(考えられること)」に分けます。見ていないことは「見ていない」と書きます。
例文
例文の名前・時刻・対応は説明のためのものです。実際の対応は事業所の手順・医療職の指示に従ってください。
転倒
- 何が起きたか
- 14時10分ごろ、食堂の入り口で、Aさんがしりもちをついて座っているのを職員Bが見つけた。床がぬれていた(直前に別の利用者がお茶をこぼしていた)。転ぶところは誰も見ていない。
- その場での対応
- 職員Bが声をかけ、Aさんは「すべった」と話した。看護師Cに報告し(14時12分)、頭を打っていないか・痛いところを確認。右のおしりに痛みあり。
- 原因(考えられること)
- お茶をこぼしたあと、すぐにふけていなかった。入り口は人の行き来が多いのに、こぼれたときの係が決まっていなかった。
- 再発防止の対策
- こぼれたら気づいた人がすぐにふく・ふくまでの間は近くで見守る、をルールにする(6月5日の職員会議で共有)。入り口にふく物を置く。1か月後に見直す。
誤薬(薬のまちがい)
- 何が起きたか
- 12時30分、昼食後の服薬で、職員BがAさんにBさんの薬を渡し、Aさんが飲んだ。12時35分、残った薬の袋を見て職員Bが気づいた。
- その場での対応
- すぐに看護師C・管理者に報告。看護師が、飲んだ薬の名前を確かめ、主治医に電話で相談し、指示を受けた(12時45分)。指示にしたがって様子を見た。
- 原因(考えられること)
- 服薬の時間に職員が1人で、2人分の薬を同時に手に持っていた。渡す前に、名前・日付・いつ飲む薬かを本人と一緒に確かめていなかった。
- 再発防止の対策
- 薬は1人分ずつ持つ。渡す前に「名前・日付・時間(朝・昼・夜)」を声に出して確かめる。手順書を直して全職員に伝える。
送迎
- 何が起きたか
- 16時40分、送迎車でAさんの自宅に着いたとき、職員BがAさんの降車を手伝っている間に、Bさんがシートベルトを外して車の外に出ようとした。けがはなかった。
- その場での対応
- 運転手がすぐに声をかけ、Bさんに座ってもらった。そのあと事業所に戻ってから管理者に報告した。
- 原因(考えられること)
- 降車のときに、車内を見守る人がいなかった。Bさんはベルトを自分で外せることを、送迎の担当が知らなかった。
- 再発防止の対策
- 降車の介助の間は、運転手は車内を見守る。ベルトを自分で外せる人の情報を、送迎表に書いて共有する。
行方不明(所在がわからない)
- 何が起きたか
- 15時00分の活動の確認のとき、Aさんがいないことに職員Bが気づいた。14時40分に作業室にいたのを職員Cが見ている。玄関の戸は開いていた。
- その場での対応
- すぐに管理者に報告し、事業所の手順にしたがって建物の中と周りを手分けして探した。15時20分、管理者が家族に連絡。15時30分、警察に届けた。16時10分、近くの公園で見つかった。けがなし。
- 原因(考えられること)
- 来客のあと、玄関の戸が開いたままだった。活動の切りかえの時間に、人数を確かめていなかった。
- 再発防止の対策
- 来客のあとは戸が閉まっているか確かめる。活動の切りかえのときに人数を確認する。いなくなったときの手順(連絡の順番・探す場所)を見直し、訓練する。
原因と対策の考え方
原因は「職員の不注意」で終わらせず、いくつかの面から考えます。
本人のこと
体調・その日の様子・歩き方や飲みこみの状態・苦手なこと
職員の動き
人数・役割の分け方・声のかけ方・確かめ方(「不注意」で終わらせない)
環境・物
床・段差・明るさ・家具の置き場所・車いすや送迎車などの道具
仕組み・決まり
手順書があるか・伝わっているか・忙しい時間帯の動き方・引きつぎ
- 報告は「だれが悪いか」を決めるためではなく、同じことをくり返さないためのものです。
- 「気をつける」「注意する」だけの対策は、続きにくく効果がわかりにくいです。手順・環境・道具・人の配置など、仕組みを変える対策を考えましょう。
- ヒヤリハット(けががなかったこと)こそ、たくさん出しましょう。大きな事故を防ぐ手がかりになります。
- 書いた人を責めない雰囲気づくりが、報告が集まる事業所をつくります。
- 対策を決めたら、だれが・いつから・何をするかを決め、あとで効果があったか見直します。
報告書のひな形
入力した内容は、このサイトには送られず、保存もされません。
ページを閉じると消えるので、書いたら「報告書を印刷する」を押してください。何も書かずに印刷すると、手書き用のひな形になります。 事業所に決まった様式があるときは、そちらを使ってください。
ヒヤリハット・事故報告書
種類:□ ヒヤリハット(けがなどはなかった)□ 事故(けが・被害があった)
| 起きた日時 | |
|---|---|
| 場所 | |
| 関わった利用者 | |
| 報告する人・その場にいた職員 | |
| 何が起きたか(事実) | |
| その場での対応 | |
| 本人の状態・その後 | |
| 家族・関係機関への連絡 | |
| 原因(考えられること) | |
| 再発防止の対策 | |
| 管理者の確認・コメント |
ほかの道具
このページは、現場で役立つ一般的な目安をまとめたものです。実際の対応は、事業所のマニュアル・手順、支援計画、医師・看護師など医療職の指示に従ってください。
