障害の特性に合わせた関わり方のヒント
障害の特性ごとに、よく言われる関わり方の工夫をまとめました。ただし、いちばん大切なのは「目の前のその人」を知ることです。
一人ひとり違います。支援計画とチームで。
- 同じ障害名でも、困りごと・得意なこと・好きなことは一人ひとり違います。ここに書いたことが合わない人もいます。
- 障害が重なっている人もいます(例:知的障害と自閉スペクトラム症)。
- 関わり方は、個別支援計画・ケアプランと、チーム(サービス管理責任者・ケアマネジャー・医療職・家族など)で話し合って決めましょう。
- このページは、診断や病気の見立て、薬や治療の判断をするためのものではありません。気になる変化は記録して、医療職・管理者に伝えてください。
どの人にも共通の基本
- 本人の意思を大切にする。本人が決められるように、選べる形で聞く(「AとBどちらにしますか」など)。
- 障害名ではなく、目の前の本人を見る。好きなこと・得意なこと・苦手なことを知る。
- 子ども扱いせず、年齢にふさわしい言葉づかいで話す。
- できないことより、できることに目を向ける。手伝いすぎず、必要なところを手伝う。
- 困った行動には理由があると考える。「いつ・どこで・何のあとに」起きたかを記録して、チームで考える。
- 本人の前で、本人のことを本人ぬきで話さない。
自閉スペクトラム症
人との関わり方やコミュニケーションの取り方に独特のところがあり、こだわりや、音・光・肌ざわりなどの感じ方の違いがあることがあります。
関わり方のヒント
- 見通しを示す:その日の予定・順番・終わりの時間を前もって伝える。
- 目で見てわかる手がかりを使う:予定表・絵カード・写真・文字・タイマーなど。
- 短く・具体的に・肯定の形で伝える(「走らない」より「歩きます」)。
- 予定が変わるときは、できるだけ早く、理由と一緒に、目で見える形で伝える。
- 音・光・人の多さなどの刺激を減らす工夫をする。落ち着ける場所を用意する。
- たとえ・冗談・あいまいな言い方(「ちょっと」「あとで」)は伝わりにくいことがある。
さけたいこと
- 大きな声で注意する・急に体にふれる
- こだわりを、理由を考えずに無理にやめさせる
ADHD(注意欠如・多動症)
注意を続けることが難しい、思いついたらすぐ動いてしまう、じっとしているのが難しい、などの特性があることがあります。
関わり方のヒント
- 指示は一度に一つずつ、短く伝える。必要ならメモや紙に書いて渡す。
- 気が散るものを減らす(席の位置・机の上を片づける など)。
- 作業を小さく区切り、こまめに確かめる・ほめる。
- 体を動かせる時間や役割をつくる。
- 忘れ物・やり忘れを防ぐ仕組みをつくる(チェック表・置き場所を決める)。
さけたいこと
- まとめて長く叱る
- 「何度言ったらわかるの」など人格を責める言い方
知的障害
理解する・覚える・判断する、などに時間がかかったり、手伝いが必要なことがあります。わかり方は一人ひとり大きく違います。
関わり方のヒント
- わかりやすい言葉で、短く、一つずつ伝える。
- 実物・写真・絵・手本を見せる。やって見せてから、一緒にやる。
- わかったかどうかは、本人にやってもらう・言ってもらうなどで確かめる(「わかった?」だけで済ませない)。
- 同じ手順・同じ場所・同じ言い方で、くり返す。
- 本人のペースを待つ。できたことを具体的にほめる。
- 大人として接し、本人が選び・決める場面をつくる。
精神障害(統合失調症・うつ病・双極性障害 など)
病気によって、気分・意欲・考え・感じ方などに波があることがあります。調子の良いときと悪いときがあり、外から見えにくい生きづらさを抱えていることがあります。
関わり方のヒント
- おだやかに、落ち着いた声で、ゆっくり話す。
- 本人の話を否定せず、まず聞く。気持ちを受け止める(内容の正しさを議論しない)。
- 無理にがんばらせない。休むことも大切だと伝える。
- 調子の波があることを前提に、その日の様子に合わせて予定を調整する。
- 「いつもと違う」様子(眠れていない・食べていない・急に話が増えた/減った など)に気づいたら、記録して、医療職・管理者に伝える。
- 薬や通院のことは、本人・医療職と相談しながら支える。職員が自分で判断しない。
- 「死にたい」などの言葉が出たときは、一人で抱えず、すぐに管理者・医療職に伝え、事業所の手順に従う。
さけたいこと
- 「気の持ちよう」「がんばれ」と励ましすぎる
- 幻覚や妄想と思われる話を、強く否定したり、話を合わせて広げたりする
高次脳機能障害
けがや病気で脳が傷ついたことにより、記憶・注意・計画を立てて行動する・感情のコントロール、などが難しくなることがあります。見た目ではわかりにくい障害です。
関わり方のヒント
- メモ・予定表・スマホのアラームなど、覚えておく助けになる道具を使う。
- 一度に一つのことを、静かな環境で。
- 手順を決めて、毎回同じやり方でくり返す。
- 疲れやすいので、こまめに休憩をとる。
- 感情が高ぶったときは、話題や場所を変えて、落ち着く時間をとる。
- できなくなったことだけでなく、できることを活かす。
視覚障害
まったく見えない人だけでなく、ぼやけて見える・見える範囲がせまい・まぶしさに弱い、など見え方はさまざまです。
関わり方のヒント
- 声をかけるときは、前から、名前を呼んで、自分の名前を名乗る。
- 「あれ」「こっち」ではなく、「右に3歩」「時計の3時の方向にお茶」など具体的に伝える。
- 歩く手伝いは、本人に聞いてから。職員のひじや肩を持ってもらい、半歩前を歩く。
- 物の場所を勝手に動かさない。動かしたら伝える。
- その場を離れるときは、ひと声かける。
- 通路に物を置かない。
聴覚障害
聞こえない・聞こえにくいの程度や、使う方法(手話・筆談・口の動きを読む・補聴器など)は人によって違います。
関わり方のヒント
- どの方法で伝え合うのがよいか、本人に聞く。
- 顔が見える位置で、口をはっきり動かして話す(大声にしなくてよい)。
- 筆談・メモ・スマホの文字・身ぶりなど、目で見える方法を使う。
- 後ろから声をかけない。肩を軽くたたく・視界に入るなどしてから話す。
- 大事なこと(予定の変更・時間・場所)は文字でも伝える。
- 放送や警報が聞こえないことがあるので、緊急時の伝え方を決めておく。
肢体不自由
手足や体を動かすことに障害があります。原因・程度・できる動きは人によって違い、言葉や理解には障害がない人も多くいます。
関わり方のヒント
- 手伝う前に「手伝いましょうか」「どのようにしますか」と本人に聞く。
- 介助は本人のやり方・ペースに合わせる。できるところは本人がする。
- 車いすの人と話すときは、目の高さを合わせる。
- 車いすや杖は体の一部。断りなく動かしたり、ふれたりしない。
- 通路・段差・トイレなど、動きやすい環境を整える。
- 体の向きを変える・移る介助は、事業所で習った方法で、無理をせず行う。
認知症
もの忘れ・時間や場所がわからなくなる・段取りが難しくなる、などがあり、不安や混乱から気持ちが不安定になることがあります。
関わり方のヒント
- 本人の気持ちを受け止める。話を否定したり、まちがいを正したりしない。
- 前から、目の高さを合わせて、ゆっくり・短く話す。
- 一度に一つずつ伝える。答えを急がせない。
- 本人のこれまでの暮らし・仕事・好きなことを知り、会話や活動に活かす。
- 落ち着かない様子には理由があることが多い(トイレ・痛み・不安・暑さ寒さ など)。原因を一緒に探す。
- なじみの人・なじみの物・落ち着ける環境を大切にする。
さけたいこと
- 叱る・ばかにする・子ども扱いする
- できないことを何度も確かめる
ほかの道具
このページは、現場で役立つ一般的な目安をまとめたものです。実際の対応は、事業所のマニュアル・手順、支援計画、医師・看護師など医療職の指示に従ってください。
